Diary from New York.

完全国内派の自分が、流れに身を任せてNYへやってきた。

『エッセンシャル思考-99%の無駄を捨て1%に集中する方法』第16回NY MBAの会 ブッククラブ形式に参加して。

今回は、人生で初めてブッククラブ形式のディスカッションの場へ参加してきました。主催されていたのは、「NewYork 日本人 MBAの会」という会で、こちらはNY在住、またはNYを拠点に海外進出したいと考えている人々へ開放されたmeet upのような交流の場です。

 

第16回NY MBAの会 『エッセンシャル思考 -99%の無駄を捨て1%に集中する方法』

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会には、MBAをお持ちで既に業界でご活躍の方々、MBAを勉強中、興味がある方々、または自分のような一切関係ない人間も含めて、ベースはビジネスですが多岐に渡った様々な情報交換や相互支援を目的とした人間が集まります。間口は非常に広く、男女比率もバランス良く、年代も非常に幅が広い、学び多き場です。

 

今回の題材は、自分が今年の3月ごろに読了し非常に得たものが多かった『エッセンシャル思考-最小の時間で成果を最大にする』という書籍を取り上げられており、ブッククラブという全員参加型の会ということと、尊敬する方がモデレーターでいらしたので参加することにしました。

 

エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする

エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする

 

 

会では、本書から得た学びをグループセッションで共有したり、これから自分がエッセンシャル思考を利用してどんなアクションを起こしたいか、ということをシェアしました。この場では、忘れないうちに参加後の追加考察を残したいと思います。

気付きは2点。

  1. 自分が感じた違和感は(自分にとって)間違いではなかった。
  2. 情報収集をしている最中は、自分は多角的に検証したい習性がある。

一つ目に入る前に、読了後の自分の感想ですが下記が印象に残りました。

  • 自分自身のことを含め広く情報を集めることの重要性
  • 真に大切なもの以外を切り捨てる力
  • 想定外に対応できる余白を持って実行へ移すこと

自分の過去の仕事の仕方を振り返ると、まさに非エッセンシャルな行動をしていた反省や、今後の仕事への携わり方、一つ一つの決断の基準、自分の立ち居振る舞い方、全てにおいて共感できました。しかし同時に、妻として、または今後子供を持ちたいと考える一女性として考えてみたときに、非常に消化不良を起こしました。

というのも、本書は「ビジネス」「プライベート」ということに関らず、「生き方」としてこのエッセンシャル思考を提唱されているのですが、どうも自分には「ビジネス」が強く先行しており、さらには「男性目線」ということが色濃く感じられ、女性がたおやかに「自分らしい生き方」を全うするには中々咀嚼しきれない内容も多かったからです。この件に関しては、過去に本書を読み始めた時にも、もっと漠然とですが記録していました。

 

m-miyuki.hatenablog.com

 

今回このセッションに参加するまでは、どこかで「自分がまだまだエッセンシャル思考だからそう感じるのか?」「未熟だからビジネスで有効に感じることをプライベートに変換できずにいるのか?」など、自分に対する疑問も残っていたので、真には咀嚼しきれていなかったのですが。まさしく自分が感じていた違和感をお持ちの女性の方々と意見交換ができ、自分が感じたことは的外れではなかったのだという安心感と、自分の直感に対する信頼を得ることができました。

私がこの違和感を、自分なりにエッセンシャル思考な表現で言い換えるとしたらこうです。

 

「最終目標を他者に委ね、その目標達成までのプロセスに柔軟に対応することが自分にとって真に重要なことである。」

 

これは、自分のファーストプライオリティである「柔軟に対応すること」を全うするためには、「最終目標の決定権」を放棄するという等価交換です。

難しく聞こえますが、母親や妻の立場で考えると一番イメージが湧きやすいかと思います。(※それだけに限定されたことではないです、例えば介護や医療にも通じるかもしれません。)

 

例えば、

「自分の子供(夫)がどうなりたいかは子供(夫)自身に委ね、自分は彼らが決めた目標までのプロセスを柔軟に見守り、支えていきたい」

ということが真に大切だと考える女性がいたとしたら、まず事前にこちらから、具体的で明確な目標を掲げることは困難な場合が多いです。本書では生きる上での最終目標を具体的に明確に描ければ、その為にどうしても必要なもの以外は捨てられ、無駄なく大事なことだけに集中することができる、ということを言っていますが、まず目標を描くのが困難な立場の人間は、ずっとエッセンシャルな生き方ができないのでしょうか??

 

・・・もちろん、そんなことはありません。(と、私は思います。)

箱の大きさが違うのだ、という認識さえあれば、エッセンシャルに切り捨てることも、もちろんトレードオフだってすることができます。

どういうことかというと、まず相手が決めた最終目標(大きな箱)に集中する→自分が何を切り捨てなければならないかが分かる→自分自身にとってどうしても捨てられないもの(小さな箱)を決められる→相手へトレードオフを申し入れる(どうやって大きな箱の中に小さな箱を綺麗に収めるのかを決める)、というプロセスです。すると、自分のファーストプライオリティである「柔軟に対応する」を優先した環境下で、自分自身の目標を決めることができる、のではないでしょうか。

え?結果的には同じプロセスじゃない?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、自分自身が箱を用意するのと、用意された箱を相手にするのとでは、だいぶ脳の中では違う筋肉を使うように思います。ですので、本書は自分自身で箱を用意する場合のエッセンシャル思考がメインであって、例えば単身で夢の実現をする場合、プロジェクトを成功させる場合などに最適だと感じました。

 

***

 

次に、気づきの二つ目に挙げた「情報収集をしている最中は、自分は多角的に検証したい習性がある」についてですが、これは本書の内容とは少しズレますが、読書を通じて自分の価値観を再認識できたということです。

言葉そのままなのですが、まずは全ての物事に「疑問」を持つことが自分にとっては大事なのだと気付きました。

 

自分の場合は、実行段階に入ってしまうと「一つのことしか出来ない」というキャパシティの狭さがあります。その為、実行に移すまでにはできる限り多くの視点から情報を得ておきたい、という収集欲、熟考欲のようなものがあると自覚しています。

今回は、「既婚」という立場が、この本に対して疑問をもたらしました。

今の時代、結婚が全てだなんて口にするつもりはありません。ただ一度くらいはしてみると、非常に視野が広がるな、とは思うので経験として有意義かとは感じます。逆に、一度も社会に出ず結婚してしまうことも、こう言ったビジネス的な立場をイメージしづらくなってしまうので、女性がバリバリ働く事も非常に有意義だと感じます。

自分がもし独身で社会人だったら、おそらく本書に何の疑問も抱かず、むしろ全面賛成の上バイブル化していたかもしれません。でも、現在6年間の社会人経験と、一既婚者であるという二つの立場からこの本と向き合うことができ、自分なりの疑問を持てたことでより深い考察に至ることができたのではないかなと感じています。それ自体が、今後の自分の社会との関わり方、仕事へのスタンスを決めることになるので、そう言った意味で非常にいい本に出会うことができました。

 

多角的に検証するためには、長い時間をかけて様々な立場での経験を重ねていかなければなりません。その分、時間はかかるかもしれませんし、それは本書の教えである「最短で最大の成果」とは真逆のことかもしれません。

しかし自分にとっては、最短で最大にたどり着くよりも、『最長で最深にたどり着くこと』の方が、もしかしたら最大の成果を持って人生を全うできるのかもしれないと今は感じています。

 

このような生き方についての思考を広げるきっかけをくださった、NY MBAの会の皆様、モデレーターを務めてくださったTestuさん、今回ご一緒できた皆様、そして本書を私に勧めてくれた夫に、深く感謝しております。本当にありがとうございました。